とにかく手帖にメモる癖。

どこかの片隅にて、事実8割、妄想2割。

<蹴心>Vol.1

CONTENTS

1.あいさつ

2.<蹴心>Vol.1

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1.あいさつ

 どうも。書評に続いて新コンテンツとして、800字のコラムを始めることにしました。以前のようにダラダラと書いてもしょうがないので、原稿用紙2枚分にその時々に「心」で感じたことを書いていきますよ。ということでコラムタイトルは<蹴心>。ではよろしく。

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2.<蹴心>Vol.1

 「今シーズンでもっとも重要な一戦となる」。アルディレス監督は第35節・町田対富山をそう位置づけた。勝点24で最下位(22位)の町田に対して、勝点28で20位(21位は同じく勝点28の鳥取)につける富山との対戦だ。この試合の重要性の説明など必要ない。▲敵軍は直近3試合を完封勝利し、好調を推移しながら野津田へ乗り込む。特に前節・草津戦では終了間際90分にカウンターから1点をもぎ取り、勝点3をたぐり寄せる執念を見せた。最後の一秒も気を抜くことは許されない、と改めて突きつけられた思いだ。▲この大一番に、選手はどのような心境でピッチへと向かうのか。その境地を太田康介は「なりふり構わず勝ちに行くしかない」と率直に話し、勝又慶典は「気負い過ぎるくらいの緊張感を持って戦う姿勢を見せる」と熱く語る。ボルテージは緊張感と共に沸点に達しようとしている。▲そんな中、冷静さの必要性を説く者もいる。韓国人DFイ・ガンジンだ。「最近、失点が多いのはバランスの悪さ」と、自身が負傷離脱した第31節以降、失点が増加している原因を分析する。確かに前がかりになり、手薄になった守備をカウンターで突かれての失点は多い。しかし、それは劣勢に立たされた者の然るべきリスクではないのか――。経験豊富な彼は続ける。「失点しても焦る必要はない。落ち着いてバランスを考えて進めればチャンスは必ず来る。試合は90分もあるのだ」と。言わんとすることは、おそらく他の選手もわかっているだろう。▲プロからアマチュアへ降格という、日本サッカー史では初の悲劇がどこかに訪れるかもしれない。この極度の緊張感の中で、町田はどこまで己を保つことができるのだろうか。焦燥する心を抑えゲームを運ぶ忍耐力、僅かな決定機を確実に射抜く集中力、押し迫る残留という重圧に潰されない精神力。この過酷なサバイバルを生き抜く“力”は、自分との戦いに勝つことで得られるものである。